福祉施設と社会をつなぐ!MotherNess羽塚順子さん

「障がいのある人たちが一生懸命働く姿を見ると、みんな変わる。すごい可能性を感じる」 
福祉施設のブランディングを手がける羽塚順子さん 、登場です!
MOTHERNESS


障がいのある人が一生懸命働いている姿を見てほしい 


──今のお仕事について伺わせてもらいます。まず、今はどんなことをしていますか?  


羽塚 MotherNess代表として、ウェルフェアプランナー・編集者をしています。

主に福祉施設のブランディングを手がけています。  


──それ以前はどんなことをされていたんですか?  


羽塚 本や雑誌を書いたり、人物インタビューやゴーストライターをしていました。その経験を生かして、福祉施設の人達をもっと素敵に紹介できるんじゃないかと思ったんです。  

ビジネスとしてではなく、思い切り社会貢献できるジャンルをやりたいと思ったんですね。 それで、福祉施設の商品や素敵なものを紹介することを始めました。

“福祉施設の商品を取り扱った引出物セット” 


──素敵な取り組みですね。どんなものを紹介してきたのでしょうか。


 羽塚 福祉施設の商品を引き出物として紹介する冊子を作りました。

プロのカメラマンを呼んで撮影にこだわって、一つ一つの物語が見えるようにして作ったんですね。それを出版社に企画を持って行きました。だけど、その企画が通らなかったんですね。  

以前は提出していた企画がほとんど採用されていたのに、どこへ持って行っても福祉施設の商品を紹介する本は採用してもらえませんでした。  

「素敵な話だし、社会的にもいい話だけれど、売れないよね」といわれてしまったんです。


 ──それでもやめずにつづけたのですね。  


羽塚 私にはこの本や紹介されている商品が社会を変える着火剤になると確信がありました。

みんなが思いやりを持つキッカケを与えれば、社会問題といわれていることはほぼ解決すると思っていたんです。 障がいのある人たちがもっと身近に感じられれば、思いやりのある社会になっていく。だから、その機会をなんとしても増やしたいと思い、今の活動をひとつのライフワークにしました。 


──今は、その本を出版されたのでしょうか。


 羽塚 本にするのは無理だと思ったので、出版は先延ばしにしています。自分の仕事として形にできそうなことを頑張っているところです。

 福祉施設の関係者の方を対象にしたセミナーにコンサルタントとして呼ばれるようになりました。こちらが軌道に乗ってきたら出版を進めていくつもりです。

“新郎新婦のオーダーでキャンプをテーマにつくった引菓子” 


──今の福祉業界に対して問題意識みたいなものを感じることはありますか。


 羽塚 売上を伸ばした人が正当に評価されないことです。売上を出さなくても給料がもらえてしまう職員さん達がいるので、やる気のある職員さんや施設長さんがあまりむくわれない職業ですよね。

一般の給料よりも水準が低いので、やる気がある人たちが集まっているのにもったいないんです。


 ──業界にいて「苦しいな」と感じることはありますか。


 羽塚 お金にならないというところですね。

お金にならなくてもその事を理解してもらって「ありがとう、良かったよ」と感謝されればよいですが、それもなかったりするんです。そのときはきついなぁと思いますね……。  


──逆に「よかったな」と感じることはなんでしょうか。


 羽塚 一番は利用者の方や親御さんが喜んでくださることですね。

 「まさかこんなことができるとは思わなかった!」 「こんなものが売れるんですね!」 そういわれることもあって、新しい可能性に気づいて喜んで頂けるのがすごく嬉しいですね。


 ──失敗談はありますか。  


羽塚 失敗談はいっぱいあります。99%失敗談ですよ。

最初の時点で全部リスクを想定して、覚悟することが大切だと感じています。


 ──福祉のお仕事で最終的にどこを目指しているのでしょうか。 


羽塚 どこを最終的にすればいいか迷うほど遠いんですけれど、まずは誰かが「死にたい」と思うことがなくなるようにしたいです。自殺する人がでないようにしたい。

世の中の人たちが「生まれてよかった。生きててよかった」と感謝できるようになるのが一番です。 

こんなにありがたい命を授かってきたので、そのありがたみを感じてほしいんですね。

障がいのある人たちが一生懸命働く姿とか生きている姿を見ると、みんな変わるんです。だから私はそこにすごい可能性を感じるんですよ。

彼らは生きる師匠だと思います。  

“Mothernessプロデュース「千年名刺」を製造する社会福祉法人一越会の様子”  


──すごくいい話ですね。次に羽塚さんの人柄について伺わせてください。  


自分を信じることで困難も乗り越えられる 


──困ることや苦しいこともあると思います。そんなとき、羽塚さんは何を頼りにされますか。  


羽塚 自分を信じることにしています。自分の思いというか、良心というか、軸というか…。

間違ってないという気持ちに立ち戻るようにしています。そうすると、どんなに困ったことがあっても大丈夫だと思えるんです。


 ──人生の中で印象に残るエピソードはありますか。  


羽塚 父が亡くなる前の日、耳元で「ありがとう」と言えたことが記憶に強く残っています。

実は、自分を置いて家を出て行ったことを理由に、父のことをずっと恨んで生きてきちゃったんですね。 父は最後、認知症で介護の苦労までしたので「最後の最後までなぜこんなことになるんだろう」と思っていました。

だけど、今日までを振り返ると自分の力で何とかしようという気持ちを持って生きてこられたのは父のおかげだと思います。だから、最後に耳元で感謝を伝えられてよかったです。  

あとは特別支援学校へ教育実習に行ったときのことです。


 ──教育実習へ行かれたんですね。いつ頃だったのでしょうか。


 羽塚 22歳ですね。私が若い時は養護学校や特殊学級と言われていました。

養護学校の教員免許を取るために行ったんですけれど、小児精神病院の中にある学級でした。 その中の不登校児のクラスで実習させてもらったんですけど、本当にごくごく普通の子だったんですね。なんですけれど、鉄格子の施設にいたんです。 暴力を振るったり親では手がつけられないことで、そのクラスへ送られたのだと思います。鉄格子の中に普通の感覚を持った子がいたことは今でもすごい思い出しますね。

“「千年名刺」製造現場の様子” 


 ──みんなに呼ばれるようなあだ名、ニックネームはありますか。


 羽塚 リクルートに勤めていた時があるんですけど「はねじゅん」と呼ばれていました。

旧姓が小池なので、古くからの友人には「いけちゃん」って呼ばれていますね。


 ──リクルートで働いていた時期があるんですね。


 羽塚 リクルートでトップ営業マンだったんですよ。 5000人いる営業マンの中のトップ7人で、全社から表彰されました。ステージで花束をもらって。  

リクルートの時代に経営者と会う機会に恵まれて「自ら機会を作り機会によって自らを変えよ」という社是にも出会いました。

売るとか儲けるとか以前に、何事に対しても「チャンスは自分で作って、チャンスによって自分を変えていく」っていう考え方が当時はすごい腑に落ちていいなと思っていました。


 ──ストレスが溜まることもあると思いますが、解消法はありますか?  


羽塚 食べたり、料理を作ることがストレス解消になっていますね。

玄米が好きで、玄米や雑穀米を炊くんです。

“障がいのある人たちが畑の手入れから販売まで手がける「mother juice」” 


──Washoiでも原宿にあるMOMINOKI HOUSE山田シェフを取材しました。玄米は身体にいいらしいですね。


 羽塚 いいですね、全然違います。


 ──習慣や趣味について聞かせてください。  


羽塚 習慣は祈ることですね。趣味は寝ること、食べること。そして、本を読むことです。


 ──ゴーストライターとして仕事をしていたのも読書が好きだったからでしょうか。 


羽塚 10代から書くことが好きで、大学ノートに吐き出せなかったものを書く習慣がありました。その頃のノートを引っ張り出して読むと、今では書けないようなすごいとんがったことを書いています。 


 ──最後に、尊敬できる方を教えてください。


 羽塚  母を尊敬しています。幼少期に母親の愛情を受けずに育って人間的な土台や自己肯定感がない苦しみを持っている方もいるので。

ちゃんと母がいて、愛情をもらえたので、母には本当に感謝しています。 


──ありがとうございました。羽塚さんのおもしろい生き方がよく伝わってきました。 


 EVENT INFO 羽塚さんが取り組んでいらっしゃる「飲む人・つくる人・売る人が支えあうコールドプレスジュース」を 実現するためのクラウドファウンディング。ご興味ある方はぜひご参加ください。 
 https://a-port.asahi.com/projects/motherjuice/

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