東京を中心に、閉ざされたイメージがあるお寺を一般に広く解放するイベントを開催
「ロータスプロジェクト」
「地球とか社会とつながること、もっといい社会や未来へ向かっていくことを忘れないで
ほしい」
ロータスプロジェクトを支えているメンバー、中山るりこさん登場!!
お寺にできる社会貢献を手伝いに誘われたことが始まり
──ロータスプロジェクトとはどのように出会ったのでしょうか。
中山 もともと育児を通して社会に力を還元していくことにとても興味がありました。
そんなときにロータスプロジェクト理事長にお寺を社会に開いていく、お寺で社会貢献をする手伝いをしないかと誘われました。いろんな人に声をかけてたみたいなんですけどね。
最初のうちは忙しかったので断っていました。
──すぐに参加したわけではないのですね。
中山 忙しさが落ち着き、今からであれば手伝えるというタイミングで参加を決めました。
ロータスプロジェクトは八王子では里山の保全活動と樹木葬墓地の運営を行っていて、一般の方はもちろん、身寄りなく亡くなった方の遺骨を積極的に受け入れています。
──樹木に遺灰をまいたりするのでしょうか。
中山 骨壷に入れています。骨壷と言っても、素材は杉の木でできています。気候の条件などによって年数は変わりますが、いつか必ず土に帰ります。
──自然に帰っていく。基本的で大切なことですね。
中山 里山の樹木葬は東京の八王子市という自然環境がある地域だからできることでした。
新宿の街中のお寺にはどんなことができるか考えて、最初にロータス寺市というマルシェのようなものを始めました。
志のあるものづくりをしている、もしくはこれから始めたいという芽を持ってる人に呼びかけました。
──志で人が集まっているのですね。
中山 思いがある人に来てもらうので、ファーマーズマーケットなどとは少し違います。
例えば、地域を応援するために仕入れをしているNGOの商品や在来種を保存していく活動をしている人が集めた野菜を販売したりしています。
──素敵な人達を発掘してきましたね!実績が素晴らしいです。
中山 出店してくれるみなさんの実績ですね。何かを伝えたい気持ちを持って活動している方には面白がっていただけています。1回来てみて、ここなら思いが伝えられそうだと参加を決めてくれる方もいます。
──今の社会に対して問題意識を提案することにもつながりますね。物を売ることがすべてじゃないというか…。
中山 物を売ることももちろんありますが、物を通して人や出来事に出会ってほしいと思っています。だからたくさんおしゃべりしてほしいです。
──販売者がお客さんにしゃべりかけるということでしょうか。
中山 お互いにですね。お客さんから販売者への質問もたくさんしてほしいと思って運営しています。いい流れでまわり始めていると思います。
小さな一歩でもいい、少しずつ未来を良くしたい
──ロータスプロジェクトという名前の由来は何でしょうか。
中山 もともとお寺の中にあったプロジェクトがロータスプロジェクトという名前で活動していました。
日蓮宗のお寺だったので、蓮から名前を取っています。お寺を開く活動をNPO法人化したんですね。私が所属しているのはNPO法人のロータスプロジェクトです。
──運営するなかで失敗したことはありますか。
中山 小さな失敗はたくさんありますね。思いが先走ってしまい、初めてのことでも理想を追って無理をして失敗したりもします。
それでも今のところはなんとかうまく運営しています。
──少人数の運営だと伺いました。苦しいときもあるのではないでしょうか。
中山 ロータスプロジェクトのメンバーは6人なので、運営はギリギリです。
イベントが被ると本当に忙しいときもあります。それでも、ゆっくりと仲間づくりは進んでいて、声かけを手伝ってくれてる人も増えてきました。
私が関わるようになってから1年半なので、まだまだこれからです。
──中山さんが目指す最終的なゴールはどこでしょうか。
中山 イベントに参加して心に響いたものを持ち帰る。そして、それをそれぞれの人が育ててくれる。自分たちが小さな一歩から世界を変えていくんだという勇気を持ってほしいと思っています。
そんな思いで寺市だけでなく社会課題を取り上げた映画を上映したり、フリーペーパーを作ったりいろいろな活動をしています。
人物像に迫る
──人生に衝撃を与えた出来事はありますか。
中山 人生の根っこを作ってくれたのは本との出会いですね。大切にしている本が何冊もあります。
──昔から読書が好きだったのでしょうか。
中山 引っ込み思案だったので、中学生の頃には図書館の本を端から読み漁ったこともあります。
──すごい読書量ですね!役に立ったことはありますか。
中山 シェイクスピア全集など読んでいるときはつまらないと感じましたが、芝居や映画を見たる時にとても役立っています。この部分はシェイクスピアだとか、エッセンスが勝手に入ってきます。本はつまらなくても何かしら残してくれると思います。
──中山さんの幅広い知識には普段から驚かされていましたが、読書体験の影響だったのですね。読書以外にも影響を受けたことはありますか。
中山 先輩達に教えてもらったことは多いですね。20代前半では行けないようなお店に連れて行ってもらえたことなど、カッコいい先輩たちの教えてくれたことが身になっているんじゃないかな。
──今の時代とは先輩と後輩の関係性が違うと思いますか。
中山 大人がいろいろなものを見せてくれました。普段行けないところに連れて行ったり、持っている知識を与えることもそうです。
──ご両親から影響を受けていることはありますか。
中山 母はドレスを縫う仕事をしていたので、私の普段着も縫ってくれていました。
習字や絵が上手ですから、何かを作りたいという気持ちは母の影響かもしれません。
父は酔っぱらって夢を語るのが好きなタイプの人でした。
──どんなことを話されていたのでしょうか。
中山 父は10年以上前に亡くなりましたが、未来を良くするためとか人生とは何かとかをよく話してくれました。中学生から高校生まで夜中に起こされては頻繁に聞かされていました。
──お父様との思い出のエピソードはありますか。
中山 誕生日が近くなると銀座のバーを何軒も転々と飲み歩いたのが思い出です。何杯まで飲めるか覚えておけと1杯飲むごとに店の中を歩かされたりね。
大人になってから父と2人で銀座デートしたことは思い出に残っています。
どんな人でも心を預けられる場所を作りたい
──すごいなと感動したサービスはありますか。
中山 最近思うのですが、宗教の奉仕する姿勢はすごいと思います。変わらないすごさというか。熱心な信者でなくとも、心を預ける場所としてのお寺は寄る辺のない人たちにとって大切な存在ではないでしょうか。
──心の拠り所はこれから先、ますます重要になりそうですね。
中山 私は入信していませんし、毎日お経をあげるような熱心な仏教徒ではありません。
それでも、私が心を預けることができる。つまり、どんな人でも心を預けられる場所ということだと思います。お寺の可能性はこれからも開けていくと注目しています。
──お寺の新しい形はどのようになっていくと思いますか。
中山 誰でも寄れる場所になるのではないでしょうか。生きているうちに関われる場所になるということですね。一般的にも開かれた場所になっていくことが理想だと思います。そう思っている仏教者はたくさんいるし、そのお手伝いができたらいいですね。
インタビューを終えて
「夢はずっと世の中のための仕事ができること。人生も折り返してだいぶになるので、仕事の中で自分の思っていること、持ってきたものをどんどん伝えていきたいです。」 どこまでも人生を前のめりで進んでいきたいと穏やかに語る中山さん。
声のトーンや表情から人柄の奥深さが伝わってくるインタビューでした。
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